五話§東京オリンピック~水泳~

[承前]

日本選手が辛うじて獲得したメダルは、男子800mリレーの銅メダ
ル1個。とっくに御家芸の時代は終わっていた。根性で勝てるならば
戦略や戦術は不要である。それに根性だったら、勝った選手のほうが
より根性があるだろう。

その頃の子供なりの記憶でも、トレーニング方法が時代遅れだとか、
科学トレーニングの必要性とかが盛んに説かれていたように思う。

かくして東京オリンピックにおける日本水泳陣は、完膚なきまでの惨
敗を喫したのである。メルボルンやローマで活躍した山中毅や田中聡
子は既に盛りを過ぎていたようで、それ以上に後に続く選手も生まれ
ていなかったのだ。

その直後だったか、どういうタイミングか記憶は定かでないのだが、
東京オリンピックの翌年あたりに、山田スイミングクラブ――現在の
イトマンスイミングスクール――が創設され、それをきっかけにして
徐々に日本の水泳界に活気が戻ってきた。その成果は8年後のミュン
ヘンで金メダル2個を得るということに繋がったのだった。

そうはいっても戦前の活況を記憶している人にしてみれば、今の状況
も不満ではあるに違いないと思われるがどうだろうか。
                            [続く]

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