八話§歌舞伎がはねたら天麩羅膳[下]

[承前]

夕食を何にしようか……先週の中頃から、歌舞伎がはねたら天麩羅を
食べようと決めていた節がある。

年齢を考えて、頻繁に揚げ物を口にすることは避けるようになっては
いるが、それでも2週間に一食くらいはカラリと揚がったとんかつや
サクっとした天麩羅を食べたいというのが、素朴かつ本能的な人情と
でもいうやつなのだ。

というわけで向かった先は電車で帰るのにも都合のいい、髙島屋にも
近い“T”の総本店である。いわゆる高級店とかではなく、いかにも
新宿らしく庶民的な店で、だからもちろん値段も庶民的なのである。

カウンターに案内されて、生ビールを注文しつつ選んだのは、1890円
(税込)也の“天麩羅膳”で、別に頼んだ京漬物をつまみつつ、職人が
眼の前で揚げては順番に供してくれるのを待つ。

眼の前に揚げたての天麩羅が供される。最初は海老が2匹で、まずは
塩で食べたかったので備え付けの塩をちょっとまぶして食べる。……
海老の甘みが生かされてうまい。ビールが進む。

それから鱚、舞茸と続き、さっくりした穴子がのせられる。その頃は
冷酒で人心地がついていて、天麩羅の量もほどよい。

最後に小海老のかき揚の小さめなのが出て、それで一通り。日本酒も
終わり、ご飯にかき揚をのせて天つゆと大根おろしをまぶしかけ、浅
蜊の味噌汁とともに食べ終えた。

揚げ物万歳!
                          [おしまい]

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この記事へのコメント

2008年02月28日 20:14
うまそうな名文には参りました。
わたしも何度か新宿の "T" で食べたことがあります。(30年以上も前の話)

次回は必ず “T” を予定に入れます。(笑)
2008年02月28日 20:56
……次回のお越しで、東京で食べよ
うと思っているものだけで、両手の
指だけでは足りないのでは(笑)?

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