膝話§二人旅一回目[7]シュテファン経由

[承前]

旅装を解くのももどかしく、到着して早々に国立歌劇場に向かうこと
になっている。

この日はバレエ『ドン・キホーテ』を観るのだ。同居人のバレエ鑑賞
歴は驚異的に長いが、こちとらバレエを鑑賞するのは2回目とかいう
お寒い状況なので、さてどうなるのかな。

とはいえ、ホテルから劇場までエスコートするのは得意とするところ
である。肌寒い曇り空のウィーン旧市街を、とりあえずシュテファン
大寺院を目指して、あたりをつけた通りを歩いていく。小路が入り組
んではいるが、少しくらい迷っても勝手にグラーベンの通りあたりに
ぶつかるのである。

そして頃合いを見計らい、指差す方向を見上げさせると、思わず……

おお!

と“感動しにくい性質(本人談)”の同居人が嘆声をあげた。そこには
シュテファン大寺院の尖塔が聳え立っていたのである。いくら写真で
見ていても、実物を見せればイチコロなのだよ、ふふふふふ。

とシュテファンを見上げながらケルントナー通りを南下していく、そ
ういえば何も食べていなかったことを思い出して、スタンドのホット
ドッグでもと提案すると、あっさりとOKが出たのでケルントナーの
南端にあるスタンドでホットドッグをパクつく。

このあたりのスタンドでは、オペラやバレエの客が開演前に軽く腹ご
しらえをという、小ぎれいな格好をした人達が多いのだ。それで気分
的なものと相俟って、こういうところで食べるホットドッグはなぜか
おいしく感じるのであった。
                            [続く]

【去年の今日】人話§歌舞伎役者伝[13]~坂東橘太郎~

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