復話§新国立劇場『ワルキューレ』[Ⅰ]

[承前]

3月の『ラインの黄金』に引き続き『ワルキューレ』の再演である。

どうせならあと2作も一気に上演してしまえばいいのに……。東京で
『ワルキューレ』が上演されていた時期、欧米では復活祭週間にあた
り、各地で『パルジファル』が上演されていたのだ。

この先、新国も欧米と歩調を合わせて復活祭の『パルジファル』上演
という流れになるとすれば、ワーグナー・テナーの需要がさらに高ま
ることになるのだろう。とりあえずは特に考えることことなく『ワル
キューレ』など上演しているというのもいとをかし。

それで『ワルキューレ』である。やっぱりずいぶんと忘れていること
を確認するわけで、そうするために7年も待たされる……。

聴いた席はラインとほぼ似たような3階席中央。音楽の印象もやはり
ラインと変わらず金管楽器が突出したりしてバランスが悪かったこと
と、それに第一幕全体の音楽の据わり具合がよくなくて、これほど長
いと感じた第一幕もなかったような記憶なのである。あるいは1階席
で聴くほうが、ピットの深さも効果的に使われて音のミックスが良好
だったのかなと想像するのだがどうだろう。

そう感じたのは、おそらくエッティンガーの指揮がワーグナーの音楽
と著しく整合性を欠いていたからではないかと想像する。ある程度は
ワーグナーが書いた指示なり音楽に沿って指揮をすれば素直に流れて
いくはずなのに、時に変にテンポを落としたりと説明的に走ったかの
ように思われる過剰な指揮が実に耳障りだと感じてしまい、一幕の間
ずうっと苛立ってしまっていたのだ。要するに彼の振る音楽に一貫性
のようなものがないのだということに思い至った。

そういえば彼が指環を振るのはこれが初めてのことのようだった。
                            [続く]

憬話§我々の“バイロイト音楽祭2008.08

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