顕話§ミュンヘン一週間[8]女はみんな~

[承前]

ミュンヘンのオペラハウスに行くのは5年ぶりのことだった。我々の
初日は『コシ・ファン・トゥッテ』である。指揮は朝見かけたばかり
のヴォルフガンク・サヴァリッシュ。

実は、この旅行に合わせてタキシードを誂えたのだった。それでこの
日が着初めということなのである。三々五々観客が集まってきた様子
を見ると“フェスティバル”と銘打っているだけにタキシード度はそ
れなりに高い。

グリエルモはまだまだ若手と言えたトマス・ハンプソン、フェランド
は大ベテランのペーター・シュライヤー。記憶が正しければハンプソ
ンを聴いたのは確かこの時が初めて。ドン・アルフォンソをテオ・ア
ダム。女声はフィオルデリージをカリタ・マッティラが、ドラベッラ
をアン・マレイ、デスピーナにはユリー・カウフマンというもの

舞台は、1988年の日本公演でも見ることができたもので、あれこれと
理屈をこねくってはいない。むしろ肩も凝らずに気楽に観ることがで
きたのである。ただし、本公演では“出征”するために用意された熱
気球が宙に吊られていったが、日本公演では上手に横移動して消えて
いったのだった。

ハンプソンはまだまだ“まじめに”演じていたが、フィオルデリージ
を落としたシュライヤーが上手奥からスキップで出てきた時は満場が
大笑いという、何ともベテランの味わいというか。それに比べて女声
陣の記憶がない。今をときめくカリタ・マッティラもどんな声だった
のかさっぱり覚えてはいない。いつもいつもうかつだと思うのは、知
らない名前だとどうしても注意して聴こうという動機づけができない
というのは問題である。

……などと御託を並べてみたが、それ以上は記憶がなくなっているの
で、これでおしまい。
                            [続く]

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