巡話§富山の薬売りとか七味唐辛子売り

子供の頃は、定期不定期を問わず家に様々な物売りがやってきては、
商いをしていった。

よく覚えている代表が“富山の薬売り”である。半年に一度とかのイ
ンターバルで、何段かに重ねた行李を肩にやって来る。それで我が家
の薬箱の薬で封を切って使われたものの代金を請求し、新しく薬を補
充して再びオートバイに乗って去っていくのである。

その時に出会わせると、薬売りのおじさんは我々に独楽だとか紙風船
をくれるのだった。考えてみれば薬には消費期限があるわけで、薬局
で買った薬なども、気がつけば3年位経っていてということが珍しく
ないのだが、富山の薬売りであれば、使わなかった薬も新しいものと
交換してくれるわけだから、管理という意味では実に合理的なやり方
だったと思うのだ。

もう一つ記憶に残っているのは、七味唐辛子の行商である。これがま
たユニークな人がやって来ていたのだ。ちょっと見は豪快な天狗を思
わせるような風貌で、その上に煙草が乗りそうな立派な眉毛の持ち主
が玄関に座り込み、注文に応じて七味唐辛子をブレンドしてくれる。

こういった行商人の相手をしていたのはもっぱら祖母であった。他に
も仏教絡みの民間信仰系の人だとか、秩父の三峰神社の“講”の人が
三峰詣をしてきたと報告がてら拝みに来たりと、まだまだそういうあ
れやこれやの残滓があった、そんな1960年代ということだった。

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