書話§クライバー~ある天才指揮者の伝記~

画像

『カルロス・クライバー――ある天才指揮者の伝記――<上>』を読了
した。下巻はまだ未刊行である。時代としては誕生から、1976年バイ
ロイトの最後の年までで、日本の記述としては1974年の初来日のみ。

数少ない本人とのインタビューから、彼を取巻いていた人間達へのイ
ンタビューによる証言まで、それはそれは膨大なもので気の遠くなる
ような作業だったということがわかる……500ページを超える大部
だが、それもまだ上巻なのだ。

様々な人物が登場してくる。例えば現代音楽スペシャリストの指揮者
ミヒャエル・ギーレンとずうっと親しかったというのは知らなかった
ことだし、長らくミュンヘンの歌劇場で音楽コーチ的な仕事に携わっ
てきたリヒャルト・トリムボルン――二期会のワーグナー上演にも助
力している
――との交友関係というのも、そういうことなのかと思わ
せる部分だった。

この本を読むことで浮かび上がってきたクライバーの人となりは……

厄介

……と一言で済みそうな気がする。他人から見ても厄介だし、おそら
くは自分自身をも“厄介”な存在だと感じていたに違いない。音楽に
対する自らの姿勢のゆえに起きる様々なあつれきにもかかわらず、そ
れでもクライバーの音楽を聴きたいという多くの人達のアプローチの
あれこれを読むのもまた興味深いのだ。それに関して言えば、多くの
人が“自分はクライバーを認めていた”と手柄話的に答えていたりす
るが、そんなあたりはバイアスがかかっているような印象。

それにしても、1974年ミュンヘン・オペラとの初来日で、帯同した指
揮者の中にサヴァリッシュともう一人、シュトゥットガルトで確執し
まくりだったフェルディナント・ライトナーもいたというのが微妙な
空気感……。

付記:下巻の刊行は来春の予定。

憶話§同居人は見た!~クライバー~まとめ

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック