実話§現場の音・・・録音の音

先週サントリーホールで聴いたことでバイエルン放送響の“よさ”を
ようやく感じることができた。これが本当の真価かどうかは、この先
ヘラクレスザールで出会えるかもなチャンスを待つことにしている。

例えばウィーンフィルの真価はムジークフェラインザールでというの
は定説になっているわけで、確かにというか間違いなくその通りだと
は実感である。今の時代、もう普通のクラシック音楽好きであっても
さっさと海外のあちこちに出かけていって、本拠地での音楽を聴いて
いる。そういう状況になったのは、20世紀の最後20年くらいからのも
のなのだ。

それまで日本人クラシック好きには、レコードを聴くこと、来日公演
での実演、音楽評論家の海外コンサート報告というもので外国の様子
に触れるしかなかった。

レコードはもちろんある意味で“缶詰”としての再生音という大前提
があるわけで、それこそ脳内補完をして聴くしかない。来日公演にし
ても、ホールまで引っ越してくるわけではもちろんないから、これも
また本拠地での音響を想像で補うしかなかったのだ。

ところが、この30年ほどの状況はそれまでとはまったく違っていて、
前述したようにクラシック音楽好きと呼ばれる人達が欧米の歌劇場や
コンサートホールから音楽祭へと行脚を始めたのである。それまでの
評論家によるレポートに頼っていた状況が一変したと言ってもいいだ
ろう。

こうして我々のような人間でも、まさに“本当の現場の音”を体験す
ることが可能になってしまったのだ。そしてオペラやコンサートの様
子や感想をリアルタイムでネット上にアップ可能な時代になった。

かつて音楽評論家という人達は、ひとたび海外に行けば、それだけで
複数の仕事を請け負うことができたが、こうしておびただしい愛好家
が旅行することで単に“それだけ”では、とっくに希少価値を失いつ
つあり、さらなる付加価値を見つけ出してレポートしなくては読者を
繋ぎとめることができなくなるだろう。

【去年の今日】憬話§このたびの旅[70]寿司&ビール<Ⅲ>

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