立話§仮名手本四段目とパルジファル

『仮名手本忠臣蔵四段目』いわゆる“切腹の場”と『パルジファル』
である。もちろんストーリーはまったく違うのだが、個人的には不思
議と似ているような気がしている。

アンフォルタスはパルジファルが差し出した槍によって傷を癒される
が、切腹をした塩冶判官は癒されはしない。駆けつけた大星由良之助
に託して死に絶えるだけである。二つの舞台は“生と死”とが対極に
ある。

……という大きな違いとは別に、この二つの舞台を取巻く“異”なる
静謐さのようなものに同じ匂いを感じるのだ。対極にある“生と死”
が、すぐ隣り合っているというようなことであるのかもしれない。

ただ、固唾を呑んで見守っている我々客席の人間にしてみれば、どち
らも深い“同情”と“共苦”の念を抱きながらというところがあるよ
うな気はする。

ともかく最も象徴的なことは、彼らを取巻く聖杯の騎士と塩冶の諸士
の静的なエネルギーのありようではないかと思う。

本当はもっと何か考えられることがあるのだろうとは思うが、単純に
それぞれの舞台を眺めていた時に思いついただけのことで、それ以上
に何か具体的に提示できるようなものでもない。

そんなところを誰かが解き明かしてくれないものかと思うのだが、オ
ペラと歌舞伎と、その両方に通じる識者っているのかしらん。

《憬話§我々の“バイロイト音楽祭”2008.08》

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