懐話§昭和三十年代~呼び出し電話~

[承前]

昭和三十年代、まだまだ一般家庭まで電話機は普及していなかった。
ようやく一般家庭でも引き出す人が出てきたかという時代である。

その当時電話を引いていたのは、当たり前だが事務所であるとか商店
とか、あるいはお医者さんといったところで、それこそ自宅から電話
をしなければ、という切迫した目的などはなかった。よほどの急病で
往診を頼むとかといったものだが、公衆電話に走っていけば済むこと
だった。

我が家に電話が引かれたのは1970年秋のことで、それまでは“呼び出
し電話”に頼っていた。歩いても20秒という近くの商店にお願いして
小学校や中学校の時の連絡用に登録していたのだ。

学校から電話が来ることなどありはしなかったが、それでも緊急用と
いうことでの登録だった。おそらくその店も厭うことなく、近所の電
話のない家からの呼び出しお願いを受けていたのだ。もちろん面倒な
ことに違いなかったとは思うが、そうすることがご近所のみなさんへ
の“サービス”の一つであると割り切っていたということだろう。

という善意の呼び出し電話だったが、店の人が「電話ですよー」と呼
びにくることなど、月に一回もなかったような記憶である。

他の家に比べると我が家に電話が入ったのは遅かった。昭和四十年代
に入っても、なお呼び出しをしてもらっていたのだから……。

そして、その後の電話機の普及についてだが別項でまとめてみよう。
                            [続く]

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