疑話§新国『ニーベルングの指環』上演

まだ『神々の黄昏』上演の記憶が新鮮である間に率直に書いておく。

これほどの質の舞台が日本で観れるとは思ってもいなかった。少なく
とも、バイロイトで上演されたユルゲン・フリム(2000年~)や、タン
クレード・ドルスト(2006年~)が演出した『ニーベルングの指環』よ
りもはるかに刺激的であったことは間違いない。

ところが、新国の態勢のゆえか、たった一度の再演の機会しか与えら
れずに舞台装置も廃棄されるとはどういうことなのだろうか。

とにかくどういう経緯で“通し上演”すら行なわれなかったのか、映
像化にしても、なぜ『ジークフリート』しかNHKで放映されなかっ
たのか……不可解なことはいくらでもある。

演出をしたキース・ウォーナーとの契約の問題であるという話は、ず
いぶんと昔に聞いたことである。だが、別のところからは、ウォーナ
ーは通し上演を希望していたのに新国側が首を縦に振らなかったとい
う話も聞こえてきていた。

いったい、どれが本当なのだろうかと思う。確かにあれだけの大仕掛
けの装置を通しでということは予算的にも大変であることは間違いの
ないところである。ただでさえ予算削減みたいな昨今の状況だから、
再演に漕ぎつくだけでも大変な労力であったろうことも理解できる。

繰り返し書くが、再演したのが遅すぎたのだ。再演をするならせめて
1年おいた2006年に予定するべきだった。この時代、オペラの舞台演
出は数年もすると鮮度が落ちてしまうことは避けられず、新国のトー
キョー・リングであっても、去年と今年と観た時には、何がしか懐か
しさのようなものをの感じたりもしたのだった。

この次、新国立劇場で“新トーキョー・リング”が制作されるのは、
いつのことになるのだろう……。

《ワーグナーのトピックス一覧》

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック