懐話§昭和三十年代~バタークリーム~

[承前]

まだあるのだろうか“バタークリーム”でできたケーキ・・・今さら
食べたいなどとは思わないが、あれを記憶しているのは四十代以上と
いくことになろうか。

三十年代のデコレーションケーキを飾っていたのは、このバタークリ
ームである。当時の田舎町に、生クリームのケーキがあったかどうか
はわからない。おそらく日持ちであるとかを考えたら、生クリームの
ケーキがあったということは想像しにくい。

それはそれとして、お世辞にもバタークリームはおいしいとは言えな
かったという記憶である。ひょっとしてバタークリームを知らない人
がいるかもしれないので、どんなものかというと、見た目は生クリー
ムのようだが、口に入れるとバターの塊りのような舌触りで、味はと
いえば、バターやマーガリンのそれであるのだ。それは爽やかさには
程遠い、誰もが否定したくなるような味だったのである。

そういう暗黒の時代を経て生クリームのショートケーキを食べた時の
感動がいかばかりだったか……それは生クリームでしかケーキを食べ
たことのない人達にはわかるまい。

何かの折に書いたことだが、昭和三十年代までの食事情などはなはだ
お寒いものがあった。誰も彼もが後々に食べるものに感動するという
そういう歴史を刻んできたのだった。
                            [続く]

《昭和のトピックス一覧》

この記事へのコメント

Slow Cafe
2010年06月16日 17:20
極めて懐かし~。あの頃はケーキは1年に1度クリスマスの時だけでしたが、ほとんどバタークリームだったと思います。個人的にはいまでも大好きです(^^。
HIDAMARI
2010年06月16日 17:32
あの食感が本当に苦手で、だから年に一度のクリスマスケーキも憂鬱でした。その後ほどなく生クリームに救われたのです。
mojo
2010年06月16日 17:56
食べるときはうれしいからパクパクいっちゃうんだけど、あとで気持ち悪くなることがあったんですよね。

そういえばこの間、テレビを見てたら八王子だか立川だか、あのあたりにバタークリームケーキの専門店があるらしいです。今でもあるということは、そのお店のは美味しいのかもしれないですね。
HIDAMARI
2010年06月16日 18:26
あら、意外とバタークリーム好きがいるもんですね。あるいは、そういう専門店のを食べるとバタークリーム観が変わるのかも……。

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