洋話§身の程知らず~まことにもって~

ドイツなどに行って、現地の歌劇場でオペラを観るなどとは何という
贅沢なことだろうかと今でも思うのである。

それがあまつさえバイロイトなどと……これはもう贅沢という領域で
推し量れるようなものですらない。もちろん今の時代、オペラなどが
王侯貴族とかセレブリティだけのものなのではなく、チケットの調達
さえできれば歌劇場の扉は開かれているのだ。

それでも、はるか東洋からやって来た人間が“どうしてオペラを観に
きているんだろう”と思われるのは当然である。そりゃあ、自分だっ
て不思議だと思う。大体、歌舞伎より先にオペラを観始めていたりも
する罰当たりなわけだし……。

そうなった理由は至極簡単で、学校で教える音楽が五線譜に基づいた
西洋音楽だったからである。仮にリコーダーの代わりに篠笛、ドラム
の代わりに和太鼓で邦楽が取り入れられていたら、日本の芸能が先に
あったことだろう。

それがなまじ西洋音楽にかぶれまくってしまった結果、わざわざ12時
間も飛行機に乗っていく羽目になってしまったのである。この間同居
人と話をしていて、日本好きや歌舞伎好きの外国人は珍しくないだろ
うが、例えば“吉右衛門の熊谷を観るために”と、わざわざ飛行機で
飛んでくる人がいるとは思えないという結論になったのだった。

【去年の今日】備話§莫(ばく)~蕎麦屋の天麩羅~

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