懐話§昭和三十年代~冷蔵庫~

[承前]

電化整備が遅れに遅れた田舎の実家に冷蔵庫が入ったのは、昭和40年
代になってからのことである。

食生活自体が近くの八百屋とか魚屋で済んでいたから、ことさら冷蔵
庫で保存しておく必要がなかったといえばそれまでのことであるが、
よくもまあと思わないでもない。

そうはいっても夏場の暑い時期はどうしていたのかというと、歩いて
5分ほどのところにある氷室まで氷を買いに行かされていたのだ。

買う氷は一貫目。店に行くと、その大きさに切ってくれて渡される。
子供のお使い仕事だったが、小学校低学年の頃はこれが難儀な仕事だ
った。さすがに一貫目は重くて、おまけに炎天下を持ち帰るのだから
溶けはしないかという心配もあって、運びながら気が気でなかった。

何とか家に持ち込むと、床下に置かれている保冷箱のようなものに入
れて、冷やして保存したい野菜や魚を入れるのである。

その時の余得といえば、氷片を少しもらい作り置きの麦茶などを冷や
して飲むことだった。到来物のカルピスがあれば、さらに幸せだった
りするわけだが、いつも飲みたい時に恵みの氷などがあるわけはなく
日常のほとんどは井戸水で“冷やした”麦茶で我慢していたのだ。
                            [続く]

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