共話§待降節独墺旅[23]ライプツィヒへ

[承前]

ドレスデン中央駅からライプツィヒ中央駅までは1時間とちょっと。
気がつけば列車は巨大な駅舎へと吸い込まれていた。旧東独時代から
見本市で有名だった街の中央駅は外観もまた巨大なのである。

駅のコインロッカーに荷物を預けようとしたら、鍵がないことに戸惑
ってしまった。よく見ると、1ブロック何十箱をパネル一つで集中管
理しているのだ。パネルに書かれていた使い方を何とか読んで荷物を
預けると、市内散策に向かった。

目的地はバッハの墓がある聖トマス教会。実は市街図をロッカーの荷
物の中に入れてしまったので、見ていた地図の記憶と自分の勘を頼り
に目的地に向かったのである。迷ったら聞けばいいだけのことだし。

勘がうまいこと働いてくれたおかげで、ほとんど回り道することもな
くトマス教会にたどり着くことができた。……能力の有効活用……。

もちろん再建された建物だが、バッハの墓は会堂の床に重厚な真鍮か
何かの板で、彼の名前が刻まれてあったのみ。その時、クラシックを
楽しみに聴いて30年。大げさに言えば我が原点に立ったような気がし
た。しばしの佇み……表に出た。

ライプツィヒでトマスカントルになったバッハもまた日々の営みの中
で、泣き、笑い、怒り、時にはワインに酔っ払ってという、今の我々
とさして違わない感情を持っていたのだと思う……人並みはずれた音
楽の創作能力を別にすれば……。

目的を果たして駅に戻ろうとしたところで、クリスマスマーケットに
出くわした。ちょうどいいタイミングでグリューワインで体を暖め、
そして駅に着き、荷物をピックアップしてホームへ行ったら、ベルリ
ン方面に向かう列車が遅れているのだという。

ようやく到着した列車は30分以上の遅れ。途中、マルチン・ルターの
街ヴィッテンベルクを経由して約2時間、我々は再びベルリンへと戻
ってきた。
                            [続く]

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