長話§プレスラー&メネセス演奏会

日曜日の武蔵野市民会館小ホールで、何年か前に解散したボザール・
トリオの結成以来のピアニストであるメナヘム・プレスラーと最後の
チェロ奏者だったアントニオ・メネセスのデュオコンサートを聴く。

弦楽四重奏は聴くが、ピアノ三重奏曲には縁が薄くて、ボザール・ト
リオという存在も名前でしか知らなかったというお粗末さである。

前半にバッハのチェロ・ソナタとベートーヴェンのピアノ・ソナタ31
番(プレスラ独奏)、休憩後の後半にはバッハの無伴奏チェロ組曲3番
(メネセス独奏)とベートーヴェンのチェロ・ソナタ第3番が演奏され
た。

最初のバッハは、軽いお手合わせと思われた。プレスラーの伴奏は、
実に的確なもので、絶えず独奏者に目を配りながら端然とした枠組み
でフォローしていくというもの。2番目のベートーヴェンは、プレス
ラー独奏で31番のソナタだった。2楽章の走句で指がもつれたりして
ハッとさせられたが、終楽章のフーガは端然と弾き分けられていた。
ただ全体像として、やや捉えきれなかった部分はなきにしもあらず。
それにしても終楽章最後の打鍵の若々しい力強さは、今週半ばに87歳
を迎える人間とは思えなかったのだ。

後半はバッハの無伴奏から。前奏曲に始まって、終始メネセスは副声
部などを浮かび上がらせたりして、この曲の構造を明確に提示してみ
せた。……ああ、こういう響きもあったのかという新たな発見もあっ
た。実演の喜びというものである。ただもう少しスケール感があれば
ということを思ったが、それは贅沢な文句だろう。

そしてもっとも充実していたのが最後のベートーヴェン。プレスラー
の硬質なピアノのサポートに、メネセスのチェロが伸びやかに響く。
最後まで緊張が途切れることなく凝縮度の高い音楽を聴かせてくれた
のだ。

アンコールはブラームスとドビュッシー。ブラームスの時に中段左端
席あたりから携帯の呼出しが鳴ったのには参った。

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