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zoom RSS 眼話§トリスタンとイゾルデ〜非日常〜

<<   作成日時 : 2011/01/12 00:00   >>

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1月10日、新国立劇場『トリスタンとイゾルデ』最終日公演を観てき
た。

昨年25日の初日から比べると、大げさでもなく驚くべき変化を遂げて
いた。初日のオーケストラは、大野和士が提示した設計図から建物の
鉄骨構造くらいまでしか組み立てきれずに時間切れ。トリスタンのグ
ールドは安定していたものの、イゾルデのテオリンは3年前のバイロ
イト同様に高音の乱暴さが耳についたのである。

その後、3回の公演を経ての千秋楽、とりわけ第二幕の愛の二重唱の
高揚感は、日常を超越したように感じた。確かに大野の棒からはエロ
スの濃度は高くはないものの、練り上げられた音楽で劇場空間を満た
したのだった。

オーケストラの反応も鋭くなり、音の切れもまとまってきていた。終
幕“愛の死”ではピットからダイヤモンドダストを思わせるような、
触れた瞬間に溶けて消えそうな繊細な微細な音がこぼれだしていった
のだ。

自分自身の数少ない新国体験の中で、これほど音楽的に充実したステ
ージは、これが初めてである。2013年のワーグナー生誕200年を控
えて、日本のオペラ好き、ワーグナー好きへのすばらしい贈り物とな
ってくれたと思う。

ただし演出については、先にも言及したように船乗りたちの衣装も動
きも論外にひどかった。あまつさえ三幕では、マルケの嘆きの背後で
引っ込んでいく彼らが完全にマルケの邪魔をしていた。

そのマルケであるが、いささか老人度が高過ぎたのはどういう演出意
図なのだろうか。ハンス・ザックスと同じく、マルケ王もまた壮年と
いう、まだまだ老いるには早い年齢であると思うのだ。おまけにマル
ケを歌ったギド・イェンテンスの声が若かっただけに、演出意図との
乖離は大きいものがあったのだ。

ところで、最終日の終了後に大野和士はドクターストップがかかって
2月一杯の休養となった。今週の東京での演奏会とバイエルン国立歌
劇場の『ナブッコ』はキャンセルとなった。リハーサルからゲネプロ
と、さらに17日間で5回のトリスタン上演がいかに過酷なものであっ
たことかと。

ここはしっかりと養生して次のステップへと飛躍してもらいたい。

《憬話§我々の“バイロイト音楽祭”2008.08》

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<新制作プレミエ上演> 2010年12月25日(土)14:00/新国立劇場 ...続きを見る
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