懐話§昭和三十年代~エスカレーター~

[承前]

エスカレーターの存在を知ったのは1960年頃のこと。電車で1時間足
らずの県庁所在地には、小ぶりなデパートがいくつかあって、そのう
ちの一軒にエスカレーターが設置されていた。

といっても、4階建ての店内にあったのは1階から2階に上がるため
の一基だけで、各フロアに上り下りがというわけではなかった。それ
でも子供心に階段が動くことが衝撃で、最初は平らだったのが次第に
階段になっていく様を飽かず眺めていた記憶がある。

ついでにエレベーターだが、これも似たような時期に田舎町に初めて
できた総合病院へ見舞いに連れられて行った時のことである。これは
動く様が見えなかったということもあって、それほどの衝撃はなかっ
たという記憶だが、それでも大きな箱が上がっていってドアが開くと
目的のフロアだったというのが何とも不思議だった。

そういうことを思い出しながら、物心ついてから半世紀が過ぎていた
ことに思い至って何とも複雑な気分になってしまったが、それにして
も、今の時代にそういう年齢の人間の50年後というのは、どのような
世界になっているものかと、見たいような見たくはないような……。
                            [続く]

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