御話§プレガルディエン&シュタイアー

プレガルディエンとシュタイアーという、現在聴くことができる最上
最良の組み合わせを所沢で聴いた。この日、シュタイアーが弾いたの
はモダンピアノだったが、これが大きな衝撃。

乾燥続きの東京付近の天候では、フォルテピアノのコンディションを
保つことが難しくて、出された結論はモダンピアノでの伴奏というも
のだったのである。

プレガルディエンとシュタイアーがモダンピアノでリサイタルをとい
うのは、2007年の『冬の旅』と2010年の『白鳥の歌』を聴いている。
その時の印象は強烈で、シュタイアーが演奏するピアノフォルテ以上
の衝撃を彼のモダンピアノから受けたのだった。

前にも書いたことだが、まずもってシュタイアーのタッチは硬質が基
本で、さらに微妙なタッチコントロールをすることで、場合によって
はピアノフォルテのような音色まで出してしまうのだ。それは、あた
かも氷の上でF1のレーシングカーを走らせて、それを完璧にコント
ロールさせているように思えてしまう。

さらに単なる合わせとしての伴奏にとどまらず、そういった音色の変
化を駆使して、シュタイアー自身が独唱者と同一地平に存在するので
ある。

伴奏者がそうであるなら、歌い手もまた相応のレベルでなくてはなら
ぬ。この日プレガルディエンのコンディションは決してベストとはい
えず、時折声が割れたりかすれたりということが見受けられた。

人間の喉は、楽器を代えるように簡単には代えられず、左右されるコ
ンディションの中で歌わねばならない定めである。そんなコンディシ
ョンをもコントロールするという一流と呼ばれる歌手達の律しかたに
凡人は敬意を払うのである。そしてあるいは、十全ではないコンディ
ションを克服することで聴衆に訴えかけるエネルギーが増幅するとい
うのもまたトップクラスたる所以なのである。

前半はシューマンの歌曲を数曲と『白鳥の歌』から数曲。後半が『詩
人の恋』というものだった。

アンコール:
シューマン:楽しい旅人op.77-1
シューベルト:たゆみなき愛D138、最初の喪失D226

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