祝話§二月大歌舞伎昼の部~勘九郎~[下]

[承前]

昼の部最後の演目は、天衣紛上野初花から『河内山』で、河内山宗俊
を仁左衛門が、松江出雲守が勘九郎という顔合わせ。

『直侍』も観ていないので、天衣紛上野初花を観るのは初めてである
が、いまだに全体のストーリーがつかめないでいる。がまあ、それは
さておき、まずは河内山である。

松江侯に幽閉されている質屋の娘浪路を救出しようと、上野輪王寺の
使僧に成りすまして、事を成就に導く宗俊の知恵と弁術を仁左衛門が
木目細かく演じてくれ、芝居の最初から最後まで合点がいったのだ。

質屋を後に花道で思案を巡らす宗俊の表情の変化の巧みさ。吉右衛門
の宗俊が当たり役と言われているが未見。おそらくは仁左衛門以上に
肚の芸が濃厚と思われるが、そのあたりを仁左衛門はサラリと見せつ
つ必要とあらばドスをきかせての舞台という印象である。

相対する勘九郎の松江侯は、無茶無理無体な殿様一直線がいかにも勘
九郎で、仁左衛門との絡みも上々と言えた。

“とんだところへ北村大膳”は不器用な澤村由次郎で、台詞もたつき
がもったいない。それと錦之助の息子隼人の浪路は相当に無理があっ
て、それ以外が締まっていただけに座組みというものは難しいなあ。

終演が15時50分で夜の部開演が16時半というのは、なかなかにきつい
ものがありはしないか。3本全部が1時間以上という番組もきつい。
以前から感じていることだが、中村屋が中心で公演をする時は他の時
に比べてもずいぶんと上演時間が長いような気がするのだ。
                             [了]

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