悼話§中村雀右衛門さん(歌舞伎役者)

雀右衛門の姿を最後に見たのは一昨年4月、車椅子で登場した歌舞伎
座閉場式だった。閉場式の翌年には富十郎と芝翫が、そしてこの23日
には雀右衛門もいなくなってしまった。

歌舞伎の真女形といえば歌右衛門しか知らないという程度の1993年6
月に、同居人と歌舞伎座の前を通りかかり、ふとしたはずみで幕見席
を買って観た芝居が『伽羅先代萩』の“まま炊き”で、そこで初めて
雀右衛門を目の当たりにしたのである。

そうして歌右衛門に伍するもう一人の真女形として雀右衛門の存在を
知ったのだった。

その後、2002年から本格的に歌舞伎通いを始めた時、雀右衛門は80歳
という年齢だったが『助六』の揚巻のような重量級の役で舞台姿を見
ることができたのは幸運と言えるだろう。そして、2005年に観た『野
崎村』
では、雀右衛門、芝翫、富十郎、藤十郎、田之助といった歌舞
伎界最長老の、まさに円熟の極みを見せてもらったのだ。

今さらながら、もう10年でも早く歌舞伎を観始めていたらなあと後悔
することばかりである。

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