霊話§我々の富士山・・・

数年前に逝去した指揮者の岩城宏之が書いたエッセーの中で……日本
に戻る飛行機が、本州に近づいたことが感じられたその瞬間から……

あーたまーを くーもーのー うーえにー だーしー

……という巌谷小波が作詞した、正式題名は『ふじの山』の第一節が
エンドレスで頭の中を駆け巡るという記述があったことを思い出す。

かく言う自分もまた、それと近いところがあって、飛行機が日本海の
南下から新潟付近で本州に上陸を果たし、はるか右斜め前方に小さく
富士山の独立峰を望んだ瞬間に、ふーじはー日本一のやま~♪……と
流れてくれちゃうのである。

あるいは岩城のエッセーに影響されてのことと言えなくもないだろう
が、それ以上に『ふじの山』に親しんだ大多数の人間が、富士山の姿
を眼にした瞬間に、メロディーと歌詞が頭の中を駆け巡るに違いない
と断定できるのだ。

それは、富士山の実物を日常的に見ることの叶わない地域に住んでい
る人であっても、刷り込みのように“富士山”という存在がDNAの
中に、長い時間をかけて組み込まれ、それが“我々の富士山”として
出現するということなのである。

【去年の今日】街話§J街通信[73]キッチン南海にて

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