連話§ワタシの酒肴[58]穴子白焼き

[承前]

炙った穴子の白焼きを山葵醤油で……これは、それなりに活魚管理の
しっかりした居酒屋で出してもらわないとうまくない酒肴だろうね。

穴子の焼き加減は難しいようで、焼きすぎるとカチカチに硬くなって
湿気た煎餅のようになってしまって身も蓋もなくなってしまうし、焼
きが足りないと妙に生っぽくなって具合が悪い。余熱で中まで火が通
るというタイミングがベストと思うわけです。

そうはいっても、ちょうどというタイミングで食べられることは、ほ
とんどありえず、大体はやや硬めの仕上がりで、ふっくらとした風味
を味わうことは叶いません。

というわけで、なかなかに焼き具合に手こずる穴子の白焼きでありま
すが、注文して冷酒を傾けながら待つことしばし、やってきたのは、
きゅっと身の引き締まった穴子一本。数切れほどに切り分けられたの
に山葵と醤油をつけて口に運ぶ。

鰻とはまた違う繊細さが、これほどまで日本酒に合うものかと……そ
れほど頻繁に食べるわけではないが、たまに注文する時はちょっとば
かし思い切った気分で臨むのであります。
                            [続く]

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