懐話§昭和三十年代~石炭ストーブ~

[承前]

季節はずれの昭和話をひとつ。

小学校と中学校は、戦前に造られた木造校舎で過ごした。もちろん、
サッシ窓でもなく、夏暑くて冬寒い。空っ風が隙間から遠慮なく入り
込んでくるサバイバルな9年間だった。

エアコンなどというものは……何それ? おいしいの? という以外に
ないくらい無縁の存在で、大体教室に蛍光灯を取り付けたのだって、
4年生の時である。

ただし冬のストーブだけは最初から存在していたが当たり前である。
空っ風の本場は体感気温が東京の比ではないほどに寒い。かくして、
冬季になると各教室に石炭ストーブが一基置かれたのだ。もちろん、
それだけ。

それで、登校した日直が用務員室に石炭を取りに行く。それと灯油を
浸み込ませた着火の道具を教室に運ぶのだ。低学年の時は誰が火をつ
けていたか記憶はない。あるいは、用務員室で火を付けてもらったの
を教室まで持って行ったのかどうか。

というわけで、隙間風が通り過ぎる教室にストーブが一基……暖かか
った記憶は希薄としか思えない。単に“子供は風の子”という古くか
らのキャッチフレーズのとおりであったのかどうか。それにそこそこ
の教室に生徒が40人も入っていれば、その分で気温は上昇していたか
もしれないのである。
                            [続く]

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