祝話§柿葺落五月大歌舞伎第二部

[承前]

14時40分開演の第二部は、伽羅先代萩『御殿』と『床下』が、それと
『夕霧 伊左衛門 廓文章』吉田屋の二本立てである。

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二本のうちでは吉田屋が理屈を超越しておもしろかったので、先に書
くことにする。大店の放蕩息子伊左衛門が花魁の夕霧に夢中になった
揚句に勘当され……それでも紙衣姿で夕霧に会いに来たという他愛の
ない、筋があるといえばある、ないといえばないような。

とにもかくにも仁左衛門の伊左衛門に尽きる。上方らしい柔らかさと
愛嬌、時にはすねて見せたり、いかにもなダメ息子を巧みに演じ分け
ていく。馬鹿馬鹿しいといえば、これほどに馬鹿馬鹿しい筋立ての話
もないのだが、客席もそれを承知で仁左衛門の芸を楽しむのである。
仁左衛門の術中にはまることのおもしろさ。

そんな融通無碍な仁左衛門の舞台に比べると、玉三郎の夕霧は少しば
かりおとなしい……ちょっと醒めたような印象を抱いたのだが、思い
すごしだろうか。

仁左衛門の孫千之助が太鼓持豊作でこしゃくな舞台を務めていたが、
彼ももう13歳。9年前の初舞台『お祭り』でウルトラマンのポーズを
決めて客席を沸かせてからあっという間のことである。

一本目に戻って『伽羅先代萩』は、藤十郎の政岡に梅玉の八汐という
顔合わせ。三部制ということで“まま炊き”は省略。藤十郎は熱演だ
ったが、どうやらこの人のテンポとは合わないようで、何となく間延
びした舞台進行だと感じてしまった。

10分足らずの『床下』では吉右衛門の男之助が大きさと迫力で圧倒。
幸四郎の弾正は……一言も台詞がなかったのでよかったと思います。

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