定話§本当の規制~本当の規制緩和

先月、用事があって国立市まで車を走らせた。レトロな三角屋根だっ
たJRの駅舎がなくなってしまったのは残念だという以上の思いであ
るが、駅前から南に真っ直ぐ伸びる道路の佇まいは健在なのだった。

その道を一橋大学から少し南に走らせると、右側に14階建てのマンシ
ョンが見えた。例の“国立マンション訴訟”の建物である。紆余曲折
はあったものの結局は建ってしまった、いわくつきのものである。

駅からしばらくの間、道沿いに高い建物は存在せず、鬱蒼とした街路
樹とあいまって、良好な環境を保っている空間が、突然の圧迫に台無
しにされたような気がした。

日本の国の法規制は、特に街並みの整備に関しては圧倒的に遅れてい
ることは否定できない。せめては表通りの建物の高さを一定にする、
屋根瓦の色を統一する……それを徹底するだけでも、すっきりとした
街並みが整備されるはずなのだ。

ところが、結局は有効利用できる土地が限られているからといったあ
たりを錦の御旗にして、業者優先で建築し放題という状況が延々と続
いているのである。

先月、鎌倉が世界遺産登録を取り下げた。詳しい理由は知らないが、
個人的には社寺や段葛といった眼目とは別に、それらを取り巻く街並
みの佇まいが不利に働いているのではと想像した。

この国は、規制と規制緩和のバランスがうまくいっておらず、という
か、どこか行政と業者の営利の追求に主眼が置かれて、市民がなおざ
りにされているようでならない。

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