板話§九月花形歌舞伎~陰陽師~

夢枕獏原作の『陰陽師』が歌舞伎化された。数少ない新作によって、
観ておかなくてはならないだろうと行ってきた。チケットは、なぜか
早々に売り切れという……松竹営業部奮闘の賜物である。

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安倍晴明(染五郎)と源博雅(勘九郎)が、20年前に打ち倒された平将門
復活の企みを食い止めるというお話。なお、原作を読んでいないので
どのように脚色されているかはわからないという前提で観た。

スピーディな舞台を心がけたために、将門が京の朝廷に叛旗を翻すと
いう詳しい事情などは省略してしまったので、将門の心情が薄まって
しまった感はある。

それに例によって新作にありがちな台詞回しが苦手で、本来の歌舞伎
らしからぬと感じる意識が抜けないままに終幕まで。それに録音を使
った劇伴も耳障りなのだな。

千秋楽も近く、20日以上公演をこなしてきたので舞台が緩いとかそう
いうことはなかった。染五郎と勘九郎のコンビはさしずめ何ちゃって
ホームズとワトソンのようなお約束関係として描かれていたが、染五
郎の口調が田村正和演ずる古畑任三郎のようにも聞えたりして。

というわけで、はてさて『陰陽師』再演の可能性やいかにというとこ
ろだが、せっかく歌舞伎座で売り切れたのだから、大阪か博多あたり
に持って行ってもいいのではないか。ただ、この先に花形オリジナル
キャストを揃えられるかどうかだが、オリジナルにこだわる必要など
ないだろう。

最後になるが、二幕途中に上手と下手外側通路で“ピロリン♪ 非常口は
こちらです!”という緊急放送が、機材の故障で10分以上にわたって
客席にまで聞えてきたが、こういうのが一番困る。

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