緩話§エピソードばかりで肝腎の中身が

テレビのスポーツ中継やニュース――ニュースショーというか――を
見ていて、しばしば気になることは、本質から離れた“エピソード”
ばかりを話して悦にいってるアナウンサーが、特に民放に多くいる。

今年の正月にテレビ観戦した箱根駅伝や高校サッカーなどは、それが
はなはだしく、競技の内容そっちのけでプライベートな話題を頻繁に
振ってみたりするのだ。

やれ、お爺さんが亡くなったとか、父親が早くに亡くなって母親の手
で育てられたとか……そういうことはリアルで戦っている状況とは、
まったく乖離して、聞いていて実に煩わしいものである。

あたかも“こんなことまで取材しているんですよ、ドヤ!”みたいで
非常に不愉快である。サッカーの試合だったらボールの行方を語れと
言いたいのだ。これはもう、アナウンサー自らが自分の無能をさらけ
出していると言っても言い過ぎではないだろう。

と思っていたら、先週末に結果が出たローザンヌ国際バレエ・コンク
ールで日本人が上位を占めたという報道である。ローザンヌは大雑把
に“プロを目指すジュニアのコンクールとしては最高峰”と言う類の
もので、ダンサーとしての可能性を見極めてもらう機会なのである。

例えばパリ・オペラ座バレエ学校やイギリスのロイヤル・バレエ学校
に在籍している生徒達がローザンヌにエントリーすることはまずない
と言っていい。1989年にロイヤル・バレエ学校の生徒だった熊川哲也
が出場しているが、あれは稀な例外なのだった。

という最低限の前提すら認識していないから、バレエを観たことなど
一度もないようなニュースショーの司会者あたりが、天才ダンサーが
現れたとか何の意味もわからず無責任に連呼してははしゃいだりする
のを見ていると、無知がベースになっているマスコミの恐ろしさを、
まざまざと感じるのである。

《バレエのトピックス一覧》

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