怜話§藤村実穂子リサイタル~マーラー~

先週の水曜日(19日)、紀尾井ホールで藤村実穂子のリサイタルを聴い
た。ピアノ伴奏は名手ヴォルフラム・リーガー。紀尾井シリーズは、
今回が4回目。最初2回のピアノ伴奏はロジャー・ヴィニョールズ。

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リヒャルト・シュトラウス:

薔薇のリボン op.36-1
白いジャスミン op.31-3
高鳴る胸 op.29-2
愛を抱きて op.32-1
愛する人よ、別れねばならない op.21-3
憧れ op.32-2

静かな歌 op.41-5
解放 op.39-4
岸辺で op.41-3
帰郷 op.15-5
小さな子守歌 op.49-3
子守歌 op.41-1

********************休憩********************

グスタフ・マーラー:

『子供の魔法の角笛』より
第7曲 ラインの小伝説
第5曲 この世の生活
第12曲 原初の光
第6曲 魚に説教するパドヴァの聖アントニウス
第4曲 この歌を思い付いたのは誰?
第3曲 不幸の中の慰め
第2曲 無駄な努力
第10曲 高き知性への賞賛

[アンコール]マーラー『若き日の歌』より
ハンスとグレーテ
たくましい想像力
別離と忌避

シュトラウスの前半6曲は慎重な歌い出し。というか、喉が暖まって
くるまでは歌唱全体のフォルムがぼやけて聴こえてしまう。これは、
どんな歌手でも程度の差はあれど似たようなもの。そんな状態の3曲
目『高まる胸』は慎重に過ぎて、はじけた印象のある曲がずいぶんお
となしく聴こえてしまった。

シュトラウスの後半の最後『子守唄』に至って、ようやく彼女本来の
美感が姿を現してきたところで休憩。

そして後半、マーラーの角笛。十分に喉も暖まり、声のフォルムも十
全に収斂したところで聴く8曲の、考え抜かれた歌いぶりをしみじみ
客席で聴き取ることができた。

彼女が生まれながらに持ち合わせている“日本人的な感性”と、ドイ
ツに渡って会得した“ドイツ・リートの表現”が融合される様子は、
今この時点において彼女でしか表現できない独自の世界なのである。

加えて今の伴奏ピアノ界でトップクラスの一人であるリーガーの絶妙
なサポートのおかげで、彼女の誠実かつ端正な歌声が生かされたのだ
ということを書き留めておきたい。

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