輪話§ラインの黄金~東京・春・音楽祭~

東京・春・音楽祭のワーグナー・シリーズは、今年から4年かけて、
四部作『ニーベルングの指環』を年に1作ずつという一年目『ライン
の黄金』に行ってきた。

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4月にしては肌寒く、ジャケットの下にカーディガンをプラスしての
お出かけ。上野公園口は、花見客でごったがえすデジャヴな光景。

出演者は以下の通り。男声陣に日本勢は一人もおらず。

指揮:マレク・ヤノフスキ

ヴォータン:エギルス・シリンス
ドンナー:ボアズ・ダニエル
フロー:マリウス・ヴラド・ブドイウ
ローゲ:アーノルド・ベズイエン
アルベリヒ:トマス・コニエチュニー
ミーメ:ヴォルフガング・アブリンガー=シュペルハッケ
ファーゾルト:フランク・ヴァン・ホーヴ
ファーフナー:シム・インスン
フリッカ:クラウディア・マーンケ
フライア:藤谷佳奈枝
エルダ:エリーザベト・クールマン
ヴォークリンデ:小川里美
ヴェルグンデ:秋本悠希
フロースヒルデ:金子美香

管弦楽:NHK交響楽団
ゲスト・コンサートマスター:ライナー・キュッヒル

結論から書けば、実に水準の高い満足のいく演奏だったということで
ある。見たくもない舞台演出に邪魔されるよりは、より純粋に音楽を
楽しめた。去年の微温湯的な演奏に終始したマイスタージンガーと比
べても音楽が木目細かく構築されていた。

まずはヤノフスキの指揮である。演奏時間2時間15分という鬼脚テン
ポでワーグナーの音世界を締めたのだが、去年のN響とは段違いで、
様々な音色の引き出しが用意され、それが効果的に演奏されたのだ。

次に実はヤノフスキに匹敵するといってもいいであろう仕事をしてみ
せたのが、ゲスト・コンマスであるウィーンフィル・コンマスのキュ
ッヒルで、大きなモーションと常に目配せを怠らないコンマスぶりに
ヴァイオリン勢が引っ張られ“全員キュッヒル状態”という憑依具合
だったのである。

もちろん、ヴァイオリン以外のN響各セクションも濃密な音楽を表出
していたことは書き添えておかねば。

歌手の中では、アルベリヒのトマス・コニエチュニーとローゲのアー
ノルド・ベズイエン、それに2階席右サイドから深々と、かつ艶やか
な美声で会場を満たしたエルダのエリーザベト・クールマンといった
面々を挙げることに躊躇はない。挙げた以外の歌手陣も、もちろん不
満などはなかったのだ。

なお、ハープは指定どおり6台が下手に並び、舞台奥には18人の金床
チームがずらりという様は壮観だった。

カーテンコールも長く、ホールを出たのは17時50分頃。出口のところ
で旧知であるワーグナー好きの大先達ご夫婦と遭遇。せっかくなので
と、新橋の居酒屋に繰り出して“反省会”を催し、ご機嫌で帰宅した
のである。こんな演奏会の後の酒はすこぶるうまい!

この先、ワルキューレ以降も楽しみである。

《憬話§我々の“バイロイト音楽祭”2008.08》

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