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zoom RSS 通話§昔々の東京グルメ本

<<   作成日時 : 2014/09/11 00:00   >>

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手元に保育社刊カラーブックス『東京の味』という文庫版がある。初
版発行は1968年で、持っているのは1972年10月発行の第5刷である。

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今でこそグルメ本が大隆盛の時代だけれど、これを買った40年以上前
に、グルメ本がどれほどあったものか……文藝春秋が今でも刊行を続
けている『東京いい店うまい店』が最初に発行されたのが1967年で、
これをもって日本の元祖グルメ本ということになるだろう。

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目次を見ればわかるが、今でも東京の“名店”と呼ばれている店が並
んでいる。なぜこれを買ったのか、理由は至極簡単なことで、1973年
に高校を卒業して東京で暮らし始めたのだ。買ってみたのはいいが、
当然のことながら仕送りはぎりぎりで金はなく、行けるはずもない。

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目次の中で大学を卒業するまでに行ったことがある店は、新宿の中村
屋と目黒のとんかつ屋とんき、そしてもう一軒、上野のとんかつ双葉
はつい先年閉店したが、上野とんかつ御三家の一つだった。当時でも
800円という値段は、店の暖簾をくぐるのに勇気が必要で、バイト
の給料頼みで思い切って気合いで出かけたようなものである。

巻末のモノクロページには、もう少し手軽な値段で食べられる店が紹
介されていて、上野の文化会館でコンサートがある時には、ガード下
にあった安い天麩羅屋のかき揚げ丼200円というのを、ありがたく
通い続けたのだった。

著者である添田知道は演歌師、作家、評論家として知られているが、
彼の父親は添田啞蟬坊という明治、大正、昭和を代表する演歌師の一
人として一世を風靡している。

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