英話§評伝『吉田健一』を書き上げて

一昨日月曜日の夕方、神保町東京堂書店ホールで、表題をテーマにし
たトークを聞いてきた。神保町には、吉田健一にゆかりのビアホール
“L”があり、このトークも店の関係者が教えてくれたのである。

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評伝として書かれた『吉田健一』は650ページを越す大部。これを
物した長谷川郁夫は、吉田の担当編集者としては最も若く、それであ
るがゆえに最後の吉田番ということでもあった。

トークは長谷川自身が考える“評伝とは”という大前提に始まった。
ある人間について評伝を書くにあたって、最も危険なことは、その人
間に直接話を聞き、取材することなのだという……そうすることで、
正しい人物像が描けなくなる。ゆえに、徹底して資料にあたり、客観
的な事実を引き出すべく骨身を削るのである。

“評伝とは”を最初に聞いたことで、トークへの興味はいやがうえに
も高まってきた。その後は、長谷川と吉田との関わり、長谷川から見
た吉田の人となりと続いていった。

白状するなら、吉田健一の作品は一点も読んでおらないのだ。そうで
はあるだのが、吉田健一の来し方、吉田を中心にした文学史的視線を
辛うじて把握していたことで、吉田という巨大なブラックホールを、
周縁から俯瞰できたような気がしている。

興味深いトークは20時にお開き……当然ながらというか、トークの主
をはじめとする人達はもちろん、我が身もまたビアホール“L”へと
繰り出し、往年の“L”で定席に座る吉田健一に思いを馳せたのだ。

“神保町という文化”の一端を垣間見た一夜であった。

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