未話§新春浅草歌舞伎~一條大蔵譚~

三が日が明けて4日になっても、浅草界隈は大賑わいである。そんな
中、浅草公会堂の新春浅草歌舞伎第1部を観てきた。今年から世代交
代ということで、出演するメンバーが大幅に若返った。

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『春調娘七種』『独楽売』という舞踊2本の間に『一條大蔵譚』奥殿
が挟まるという構成である。中心となる若手7人は尾上松也、中村歌
昇、坂東巳之助、中村種之助、中村米吉、中村隼人、中村児太郎とい
う面々。とりあえず場数を踏ませて“歌舞伎を覚えてもらう”ことが
肝要なのと、お客さんに顔を覚えられて長く贔屓にしていただく……
そんなあたりがテーマということであろう。

まず『春調娘七種』は、曽我五郎(尾上松也)、静御前(中村児太郎)、
曽我十郎(中村隼人)という、意味のよくわからない人物の組み合わせ
で初春の七草を寿ぐみたいなもの。途中、曽我五郎の松也が長袴の裾
で七草の入った桶を蹴ってしまったりして、舞台の寸法が掴みきれて
いなかったのだろうかと思ったりもして。

そして『一條大蔵譚』は、歌昇の一條大蔵卿、米吉の常盤御前、松也
の吉岡鬼次郎、児太郎のお京、成駒屋の芝のぶが鳴瀬という配役……
若い若いと思っていた芝のぶも年増を演じるようになってしまった。

普通は『奥殿』の前に『檜垣』があるのだが、大人数を使えないこと
と、若手ではそこまで演じきれまいということで1時間足らずの奥殿
のみとなったが、初めての人にとっては檜垣からやってくれたほうが
わかりやすかったかもしれない。

いつものことながら、若手の芝居を観ると、芝居の骨組みのようなも
のがわかる……それだけ、くずすことなく丁寧に舞台を務めていると
いうことなのだろう。大歌舞伎にある濃密な世界や役者のオーラこそ
感じられないものの、一生懸命さは舞台から伝わってくる。

さて最後の『独楽売』は、巳之助と種太郎の独楽売に米吉の芸者、芝
のぶの茶屋女房、鶴松と梅丸の雛妓で、正月らしい舞台が繰り広げら
れた。途中、巳之助の投げた独楽を種太郎が取り損ねて独楽の芯棒が
取れてしまうという……これも舞台の寸法を掴みきれていないと言え
るだろうか。

終演後は大混雑の浅草寺に詣で、人の波をかき分けて地下鉄で新宿に
戻り、居酒屋で食事をして年末年始休暇の最終日を締めたのである。

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