風話§五月大歌舞伎~團菊祭~[下]

[承前]

サクっと昼ご飯を食べたところで『天一坊大岡政談』の通しである。

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史実にある、天一坊なる山伏が、八代将軍徳川吉宗ご落胤であるとか
騙った騒動の顛末だから、こちらとしても事情がわかっているから、
楽しみながら観ることができた。

菊之助が天一坊を、菊五郎が大岡越前守と務めたが、幕府将軍にまつ
わる一件を町奉行が取り調べることなどはあり得ない……そんな脚色
をされるほど、大岡越前が名奉行として誉れ高い所以なのであろう。

1年近くぶりに、山内伊賀亮を務める海老蔵を見たが、相も変らぬ勝
手な台詞回しに辟易したのは言うまでもない。

そういえば黙阿弥は、もう一本『五十三次天日坊』という芝居も書い
ていて、2012年にコクーン歌舞伎が勘九郎主役で上演している。こち
らは頼朝のご落胤という時代設定だが、大まかな粗筋は天一坊と重な
るところが多かったりして、その当時どういう上演を考えていたのか
何とも意図不明なことである。

まあ、1867年に上演されたのを最後に、百年以上も経ってコクーンで
宮藤官九郎の脚本によって再演されたのは、むべなるかなという気が
しないでもない。

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