楽話§八月納涼歌舞伎第一部~棒しばり~

平日9時前に家を出た。乗った電車はまだまだ通勤客でいっぱい……
まだまだ何がなし罪悪感を抱いた自分がいたりするのはしかたなく、
そんな中にも解放感も少しあって、11時開演の歌舞伎座へ向かった。

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デパ地下で毎度おなじみのおにぎりを買えば、ちょうど開場したばか
りの歌舞伎座に到着。

第一部の演目は『おちくぼ物語』と『棒しばり』の2本で、正味2時
間と気楽なものである。

さて、薄幸で継母にいじめられるおちくぼの姫が、左近少将に見初め
られてめでたく結ばれるという平安シンデレラ・ストーリーである。

でまあ、おもしろくはなかった……“歌舞伎味”が薄いというか、ま
ったくない芝居で、ひたすら耐えるばかりのおちくぼを演じた七之助
もしどころがないことに加えて、左近少将を務めた隼人が、学芸会レ
ベルの大根だったことが、二人の恋場面をつまらなくしてしまった。
収穫といえば“三日餅”という風習を知ったことくらい。

休憩の後は“十世坂東三津五郎に捧ぐ”と題された『棒しばり』が、
十八代目勘三郎の息子である勘九郎の次郎冠者と、十代目三津五郎の
息子巳之助の太郎冠者によって踊られた。

2年前には、勘三郎を偲んで三津五郎が次郎冠者を、勘九郎が太郎冠
者を務めたのに、あっという間に三津五郎まで天に昇ってしまったわ
けで、よもや2年後の納涼で二人の息子が『棒しばり』の舞台を務め
るとは。

勘九郎は、もはや言うまでもなく当代一の歌舞伎踊りの名手で、踊り
の切れは、いよいよもってシャープさを増してきている。そんな中で
巳之助は、ていねいに踊ってみせるが、父親の域に達するのは、遠い
先の話になるだろうか。

というわけで、第一部と第三部を観たが、どちらも“歌舞伎味”薄い
舞台だったことに気がついた。

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