雅話§百人一首考[77]~せをはやみ~

[承前]

崇徳院(すとくいん)

瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の
われても末に あはむとぞ思ふ


久々によく知っている一首が巡ってきた。それにしても、どれほど知
っている歌が少ないのかと……子供の頃の遺産もその程度でしかなか
ったのが情けない。

番号順で、このあたりの知っている歌はというと、数首後の“ほとと
ぎす……”がおぼろげにな程度で、記憶をたどっても、いつ頃どのよ
うに聞き知って覚えたものかなと思うのである。

それこそ子供の頃だったら、単に語呂とかリズムとかがしっくりきて
気が付いたら覚えていたという、そんなところだろうが、この年齢に
なっても、最初の“瀬をはやみ”とくれば、間髪入れず“岩にせかる
る”以降がすらすらと流れ出してくるのだから、三つ子の魂何とやら
なのだな。

で、例によって風景を描写した歌だとばかり思い込んでいたが、割か
れて叶わぬ恋を何とかしたいという、情念ありありな一首だったとは
百人一首が初めての小学6年生には理解しようもなかったのである。
                            [続く]

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