雅話§百人一首考[86]~なげけとて~

[承前]

西行法師(さいぎょうほうし)

嘆けとて 月やは物を 思はする
かこち顔なる わが涙かな


さて新年も7日、松の内も今日限り――かつて15日まで松の内だった
が、最近はこんなものか
――残る15首を片付けてしまおう。

西行法師の歌である。何というかセンチメンタルだなあと思った……

ねかはくは 花のしたにて 春しなん
そのきさらきの もちつきのころ


……むしろ、こっちの歌のほうを長いこと親しんでいて、読み比べる
とどちらもセンチメンタルが横溢しているような印象がある。あるい
はリリカルなと言ってもいいかもしれないし、かなり自意識が強い人
間であるとも感じられる。

西行が死んだのは1190年3月31日、旧暦文治6年2月16日。歌に詠ん
で願ったとおりに、如月で桜の花が咲く頃のことだった。
                            [続く]

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