懐話§昭和三十年代~酢や味噌、醤油~

[承前]

生家の台所は何とも質素で、一番に古い記憶では、ご飯を炊く小さな
かまどと、七輪程度しか火の道具がなかった。だから、その程度の料
理しか作っていなかったということである。

祖母か母親が作っていたわけだが、言うまでもなく今のインスタント
食品の類などは存在せず、野菜や肉、魚といった素材を、ゼロから調
理していたのだ。

調味料も、西洋物はソースくらいで、後は酢や味噌、醤油で味付けす
る……ほとんど和風ばかりだった。そして、そういった調味料の調達
方法だが、歩いて数分のところにそういった食品を商う店があって、
器を持参して買い物に出かけていった。

酢や醤油は、甕に入っているものを柄杓で1升桝にすくい、じょうご
を使って持って行った瓶に入れるのだが、そうしたやり取りの様子が
子供心におもしろかったことを覚えている。

味噌は、今でもそうだったりするが、樽に入ったものを必要な分だけ
量り売りしてもらう形式だった。

昔の人がマメだったのがどうか、明治生まれの祖母は日々の梅干しと
漬物作りは、元気だった間は続けていた。梅干しは、シソと合わせた
やつを天日で干して容器に保存していたし、白菜が出回る時期には、
大量に漬けこんで食卓に上ったのだ。

もちろん、それ以外の漬物もあったから、いったい我が家には糠床が
いくつあったのだろうかと思い返している。
                            [続く]

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