欧話§老後旅事始~トリスタン[上]~

[承前]

カタリーナ・ワーグナーの演出、指揮をするのはクリスティアン・テ
ィーレマンで『トリスタンとイゾルデ』を観た。音楽祭総監督による
舞台だから“金はかかって”いたが、ただそれだけとしか思えない。

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全幕を通じて無機質な舞台美術。1幕は複雑に入り組んだ階段と上下
する床が各所に。2幕は金属リングの連なりが縦のものは扉のように
見え、床に置かれたものはベンチにもなったり。3幕では、中空に浮
かぶ小さなテントの中にイゾルデが幻影として現れては消えるという
もの。

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どれも金はかかっているが、特に1幕の階段とエレベーターなどは、
意図を図りかねるところはあった。ちなみに、1幕の半ばほどでトリ
スタンとイゾルデが抱擁する演出があり、媚薬以前から二人が恋愛状
態だったことを示している。

どうも最近は舞台にばかり集中して観ていると、音楽がなおざりにと
いう傾向があるような気がする。ということとは別に、音楽的には一
番に楽しみだったティーレマンの指揮が、意外という以上にあっさり
聴こえていたのだがどういうことだろう……同宿の知り合いにそれを
言うと“芸風を変えつつある……らしい”とのことであるが、どんな
ものだろう。
                            [続く]

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