颪話§空っ風の頃

上州名物と呼ばれる空っ風の中で18年を過ごした。読んで字の如く、
からからに乾いた北西の強い風で、越後で豪雪を降らせた後、水分の
抜けた空気が上州側に吹き降りるのである。

そんな風が吹くものだから、上州の冬の風景は何とも荒涼殺伐として
いるように感じられた。カサカサと寒々しく潤いのない様子は、見て
いても楽しいものではない。

まあ、若かったからというしか言いようはないのだが、そんな空っ風
に抗うでもなく、淡々とした日々を過ごしていたのは、それなりに体
力があったからであろう。だが、時として空っ風はそんな体力を嘲笑
うのだ。

18年の空っ風生活の中で、数度だけだがこんなことがあった……北に
向かってたまたま自転車を走らせていた時、強い空っ風が正面から吹
いてきて、自転車がそれ以上進めなくなってしまったのである。風の
強さと、ペダルを踏む力が拮抗していたことで、乗ったままその場を
動かなかったのである。

たまたまのタイミングで遭遇したことだったが、自転車の上で足掻き
ながら苦笑いしていたことを覚えているのだ。

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