未話§菊之助の一條大蔵卿~国立劇場~

先週火曜日、国立劇場で行われている歌舞伎鑑賞教室『一條大蔵譚』
を観てきた。鑑賞教室と銘打たれているので、客席は団体鑑賞の高校
生で溢れかえって、場内の気温も3度くらい高かったのではないか。

画像

一條大蔵卿長成:尾上菊之助
常盤御前:中村梅枝
鬼次郎女房お京:尾上右近
吉岡鬼次郎:坂東彦三郎
鳴瀬:尾上菊三呂
八剱勘解由:尾上菊市郎

という配役に加えて本編の前の『歌舞伎のみかた』の解説を坂東亀蔵
が務めたが、なかなかにわかりやすくて手際よく、開演前は騒々しか
った客席も、殊勝に聴いていたのだった。

さて、菊之助の一條大蔵卿はまだまだ若い……“作り阿呆”も年季が
必要なのだ。もう10年も舞台経験を積めばいい味が出てくるのではと
思うが、特に『檜垣茶屋の場』の出からひとしきり阿呆を見せる場面
では、どうしても作為が目に立ってしまう。

後半の奥殿で本性を現すところは、しっかり演じていたが、ところど
ころでの作り阿呆の演技となると、もう一つなのである。

楽しみにしていた彦三郎の鬼次郎は、まじめで硬めではあったが、舞
台を締めていたと思う。女方二人、梅枝の常盤、右近のお京ともども
堅実な舞台。

初めて歌舞伎を観る高校生が1500人以上という客席は、歌舞伎座での
雰囲気とはまったく違ったものだった。イヤホンガイドを聴いてはい
ても、ひたすら静かに鑑賞という様子だった。彼らにしても勝手が違
い、何をどう観たらいいのかわからないという風に見受けられた。

今月の歌舞伎鑑賞教室は全30回行われるが、まあ、1公演せめて一人
……合わせて30人が歌舞伎に興味を持ってくれれば御の字であろう。
何を言っても“本物”を観ることこそ大事だと知ってほしいのだ。

《歌舞伎のトピックス一覧》

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック