愉話§呑藝春秋[48]ウィスキーは

[承前]

しばしば酒の味の良し悪しには不案内と書いているが、それは嘘偽り
ないことである。特にウィスキーは頻繁に呑むわけではないので、何
が何やらのまま歳を取ってしまった。

宮仕えをしていた頃、酒を呑んで食事をした後に時々だがバーなる店
に行ったことはあった。2軒も3軒もハシゴすることはなかったし、
バーに行くといっても、せいぜい年に数回程度だったからかわいいも
のだ。

通勤に利用している私鉄駅を途中下車すると、20年ほども通っている
馴染みのバーがあって、気まぐれに扉を開けてみる……そんな店の売
りはアイラ島(Islay)産のシングルモルトである。

有名どころとしては、ボウモワ、ラフロイグ、ラガヴーリンといった
あたりで、とりわけラフロイグのピート(泥炭)臭の強烈さについて、
どう表現したものか、しかるべくふさわしい言葉が見つからない。

というわけで駆けつけの1杯は、胃腸を落ち着かせるべくラフロイグ
をストレートでシングルショット。チェイサーは炭酸水をいただく。

それだけではいささか物足りないので、締めにハイボールか冬だった
らホットウィスキーを呑む。控えめな店主は「ハイボールやホットウ
ィスキーだったら、これで十分」と一番安いスコッチを出してくる。
そんなところが、いいバーだと感じさせてくれるのだ。

ウィスキーについての思い出がもう一つあるのだが、それについては
稿を改めることにしよう。
                            [続く]

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