愉話§呑藝春秋[49]ハイボールを講釈した

[承前]

というわけでウィスキー話の続き。

こんなことを思い出した……もう20年以上前だっただろうか、都心の
ホテルにあるバーに入った。ホテルといってもビジネスホテルに毛が
三本クラスである。そこにいた年若いバーテンダーにハイボールをと
注文したら「何ですか、それ?」と聞き返されて驚いたことがある。

1980年代半ば頃と思うが、ウィスキーの売り上げは下り坂となって、
居酒屋では酎ハイが隆盛を極めていた時期にあたっていたのだ。

だからといって、まさかバーテンダーがハイボールを知らないことが
あるだろうかと耳を疑ったが、なるほど流行り廃りは世の常なんだな
と思い直し、バーテンダーに向かって講釈を垂れる羽目になった。

もちろんきちんとしたレシピを話したわけではなく、一般論としての
ハイボールは、ウィスキーをこれくらい、氷はこれくらい、そこに炭
酸水を注ぐという、概略を話したに過ぎないのだが、今思い出しても
なぜ自分がと思いながらカウンター越しのやり取りをしたのである。

翻って今である。巷ではハイボールが持て囃されて、もう数年は経つ
だろうか。中にはチェーン系たこ焼き屋がハイボールを売りに展開し
ていて、何度か試したことがある。たこ焼きとハイボールがマッチす
るかというと……ノーコメントだ。

というわけでウィスキーからハイボールの顛末を思い出したのだが、
バーテンダーに講釈を垂れる中に「酎ハイが流行っているでしょ、酎
ハイのハイはハイボールのハイなんだ」と付け加えることは忘れなか
った。
                            [続く]

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