鍵話§スティーヴン・ハフのピアノ

9月25日、武蔵野市民文化会館で行われたスティーヴン・ハフのピア
ノ・リサイタルを聴いてきた。何よりハフが演奏するドビュッシーが
聴きたかったので、チケットを購入。

使われたピアノはヤマハCFXで、3台持ち込んだ中からの選択。

画像

ドビュッシー:『ベルガマスク組曲』より第3曲「月の光」
ドビュッシー:映像 第2巻
第1曲:葉ずえを渡る鐘の音
第2曲:荒れた寺にかかる月
第3曲:金色の魚

シューマン:幻想曲 C-Dur Op.17

**********************休憩**********************

ドビュッシー:『前奏曲』第2巻より第7曲
                  「月の光が降り注ぐテラス」
ドビュッシー:映像 第1巻
第1曲:水の反映
第2曲:ラモーを讃えて
第3曲:運動

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第23番 f-moll Op.57『熱情』

[アンコール]
山田耕筰:赤とんぼ(スティーブン・ハフ編曲)
エリック・コーツ:バイ・ザ・スリーピー・ラグーン

前半後半ともドビュッシーから始まり、シューマンとベートーヴェン
を弾くというプログラム。それぞれ、月にまつわる曲が置かれていて
前夜の中秋の名月を意識したプログラム……ではなさそうだ。4曲ず
つ並んだドビュッシーは、間を置かず演奏されたが、それも何らかの
意図あってのことだろう。

1曲目『月の光』からハフの繊細なタッチによる音楽がこぼれ出てく
る。デリケートなガラス細工のような、それが鍵盤というパレットか
ら10本の指の絵筆を使って、空間に展開していくのである。映像は、
第2巻から演奏されたので少し戸惑って、堪能できたのは第1巻のほ
うだった。

自分的に一番だと感じたのは『水の反映』で、タッチの変化が音色の
変化に生かされ、時に無重力の浮遊感を体験することができたのは、
望外の喜びである。

初めて聴くシューマンは、取り留めのない曲だと感じ、ベートーヴェ
ンは小ホールには入りきれない音量で、どちらも骨太の音楽だったの
はドビュッシーからの反動だっただろうか。ネット上には“どちらも
情熱的に壊れていった”とあったが、何となく納得できる……特に、
ベートーヴェンの最後はそんな印象が強かった。

ああ……月にまつわる曲を並べたのだから、最後のベートーヴェンも
月光ソナタにすればいいのにという突っ込みも聞こえてきたが、さす
がにそこまですることもなく。

冷静さを取り戻したチャーミングなアンコールは、まさに奏者と聴衆
のためのクールダウンと言えるだろう。

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