懐話§昭和四十年代~スポ根ドラマ~

[承前]

中学生の頃だったと思うが、アニメのスポーツ物とは別に、実写のス
ポーツ根性物のドラマが人気だった時代があった。

よく見たのは『柔道一直線』とか『サインはV』といったあたりで、
当時を考えてもずいぶん無理な作り方だったなあという記憶である。

特に『柔道一直線』のほうの滅茶苦茶さが際立っていたようだ。20段
以上ある神社の石段のてっぺんから“地獄車”を会得すると称して、
掛け布団をクッションに前転しながら階段を落ちていくとか、主人公
のライバルが、ピアノの上にひらりと飛び乗り、巧みかつ軽やかに足
を使って鍵盤の上を弾いていくシーンなど、さすがに悪い冗談なのだ
と思ったのだ。

『サインはV』もまた、稚拙な“特殊撮影”で魔球の類を見せようと
奮闘していたが、俳優をアップにして誤魔化すのにも限度があって、
コート全体を俯瞰してプレイの様子が撮影されると、何とも珍妙なバ
レーボールが展開していることに気がついてしまうのである。

同じ時期にスポ根ドラマではなかったが、1972年に放送された『ミュ
ンヘンへの道』は、男子バレーボールチームがミュンヘン・オリンピ
ックで金メダルを獲得するまでの奮闘を、アニメを中心に制作された
実録ドキュメント風作品で、それより少し前に映画化された『黒部の
太陽』や『超高層のあけぼの』という高度経済成長を舞台に作られた
実録ドラマのスポーツ版と言えばいいのではないだろうか。
                            [続く]

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