懐話§実家があった田舎町~故郷は遠くに~

死ぬまで父が暮らしていた借家は、父の死後速やかに持ち主の大家さ
んに返した。三回忌の折に立ち寄ってみら、既に更地になっていた。

18歳、高校を卒業したところで離れてしまった田舎町は、人口10万人
ちょっと歴史はあるようだが、往時の面影は通りに残る古商家くらい
で、商店街はおなじみのシャッターだらけのようだ。

実はも何も、18年間の実家暮らしの間に“自分の町”をどれだけ見た
か……これはもう思い返せば情けないくらい、自分の家と学校の行き
帰りの範囲でしかなかったことに気がつかされる。

確かに、あっちへこっちへとほっつき歩いて遊ぶなどと、そんな金も
なかったわけで、相当に内向きの日々を送っていたようだ。

そんな故郷とすっかり疎遠となってしまったが、昨今のようにネット
に接続すれば様々な情報をピックアップすることができるし、グーグ
ルのストリートビューを使って、我が町の様子をたどることも簡単な
ことである。

そうして今さらながら、自分が暮らした町のある意味で奥深さのよう
なものを遅ればせながら知ることになったが、それは自分が実家の町
を離れたからであるがゆえの感慨で、もしも離れることなくこの年齢
まで延々と暮らしていたとして、同じようなことを考えるだろうか。

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