半話§顔見世十一月大歌舞伎~髪結新三~2019/11/19 00:00

昼の部一番の『研辰の討たれ』を観たくて顔見世大歌舞伎に行った。
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木村錦花の原作による舞台は初めて。14年前の野田秀樹演出、十八代
目勘三郎主演による舞台の強烈な印象が残っているので、野田が、ど
のように作り込んでいったのかを知っておきたかったのである。

感想はと問われれば、おもしろかった。原作の出来がいいと感じた。
最初に観た野田版は、原作がさらにヴァージョンアップされていて、
原作を観たことで改めて野田の才能を思い知らされた。

冒頭、城内の場面では、脇役者の平均年齢が高かったためか、幸四郎
の研辰との乖離が感じられたが、幕が進むに従ってテンポも上がって
楽しませてもらったけれど、幸四郎いささか走り過ぎだったか。

それにしても“仇討ち”をテーマに据えながら、仇討ちそのものへの
大きな疑念を提示する……大正が終わるという時代に、こういう芝居
が初演されたことに驚かされる。

15分ほどの踊り『関三奴』を挟んでの『髪結新三』……これは役者も
揃っての2時間20分を楽しんだ。

菊五郎の新三は、小悪党というよりは立派な親分さんという風情だが
隅から隅まで行き届いた芝居を堪能。橘太郎の鰹売りは初めて。相変
わらず切れのいい務めっぷりで、鰹を捌く時に持った包丁をクルリと
回したのには驚かされた。そして萬次郎の家主女房の怪演と含めて、
隙のないアンサンブルを堪能したものの、幕間休憩なしの2時間20分
はきついものがあった。

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