憬話§このたびの旅[31]神々の黄昏<Ⅱ>

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↑散歩径[2]右側が舞台の最後部。クプファーの指環はここまでが舞台

[承前]

このところ『神々の黄昏』第二幕が自分自身の中ではお気に入り継続
中である。まずもって前奏曲がいい。使い古した表現をするまでもな
く、悪意に満ちた陰謀の蠢きとでも言えるだろうか。

半覚醒のハーゲンに語りかけるアルベリヒの対話も実にスリリングで
CDだと、二幕冒頭からブリュンヒルデが曳かれてくるあたりまでを
繰り返し聴いてもいいくらいなのだ。

アルベリヒが立ち去った後の深々としたホルンの重奏、ジークフリー
トが戻ってきたところでハーゲンがギービヒの手下を集めるあたりの
暴力的なオーケストラの響きを聴くと、とても作り物とは思えずで、
人間の根源的な本能の一部分を刺激されるような気がする。このあた
り、ワーグナーの常軌を逸した狂気とも思える天才ぶりではないか。

このあたり、ティーレマンも舞台とのしがらみを吹っ切ってしまった
ようで、ひたすらワーグナーの響きの再現に集中しているように感じ
られた。『ラインの黄金』の時こそ小手調べのような雰囲気だったが
日を追うごとに表現の幅が増してきたようで、とにもかくにもこんな
音楽が鳴っていなければ“見ちゃいられ”なかったところである。

ところが、ピットのオーケストラは鳴れども舞台上の合唱の響きが客
席にガツン!と来てくれない。うーん、どうしたことだろう。せっか
く指環で唯一といえる合唱の出番であるのに……。

そして、第二幕のブリュンヒルデ、ハーゲン、グンターの三重唱は、
運命の歯車が大きな音をたててストーリーが劇的に展開する要だとい
える場面なのに、ああ・・・動かないのである。
                      [神々の黄昏<Ⅲ>へ]

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